目次>◆高野聖------------泉 鏡花

 

「高野聖」--泉 鏡花

若い修行僧の宗朝は、飛騨から信州への山越えをする際、

ふもとの茶屋で富山の薬売りに出合った。

その先の二股道で二人は道を別にしたが、

宗朝は薬売りが行った道は危険で、いまや人の往来のない旧道だと知った。

そこで、仏の道に仕える宗朝は、

見殺しにできず、その後を迫って旧道に入った。

急いで歩いていくと、蛇の群れに道を妨げられて、立ちすくみ、

やっとの思いで難を逃れると、次はヒルが雨のように降ってきて、宗朝の血を吸った。

そんな恐ろしい目に遭い、疲れきった頃、宗朝はやっと一軒の家に着いた。

そこには、この世の者とは思えぬ美しい女が住んでいた。

女は宗朝を泊めることを承知し、馬市に出す馬を連れて来た男に留守を頼むと、

旅の汗を流すために谷川へと宗朝を案内した。

谷川に着くと「すっぽり裸体になってお洗いなさいまし、

私が流して上げましょう」と言つて女が宗朝の脊を流してくれた。

いつの間にか、女は着物を脱いで、全裸になっていた。

川への往復の途中、蛙や大コウモリや猿が女にまとわりつく。

女はいたずらの過ぎる子供をあしらう母親のようであった。

家に帰ると留守を頼んでいた男が、馬市へ行くため馬小屋から馬を引き出していた。

宗朝を見て「もとの体で帰らっしゃったの」と不思議な事をいう。

その夜、宗朝は家の周りを鳥や獣が二十も三十も取り囲んで、

鳴いているような異様な気配を感じた。

そして、その気配のうごめくのに応えるかのように、女がうなされる声が聞こえてくる。

宗朝が一心不乱に陀羅尼経を唱えるとやがて気配は静まり、女もうなされなくなる。

翌朝、宗朝は一夜の礼を言ってその家を発ったが、女の妖艶さが忘れられず、

引き返して女と一緒に暮らすことを考えていた。

しかし、そこへ昨日馬を連れて行った男と出会う、昨日連れていった馬は、

女の魔力によって姿を変えられた薬売りの男であり、女にまとわりついた動物たちは、

女にもてあそぱれた男たちの成れの果てであると教えてくれた。

それを聞いた宗朝は、ぴっくりして一目散に里へ下りていった。

お薦めサイト

「入館無料!あらすじ文学館」気になる名作30作品が30分でわかる!
詳しくは、http://tosyokan2.web.fc2.com/

「あらすじで読む!芥川龍之介集」名作30作品が30分でわかる!
詳しくは、http://nrkakutagawa.web.fc2.com/

20年の経験を持つ一級建築士が教える裏側から見たマンション選びのポイント
詳しくは、http://manshonerabi.web.fc2.com/

目次

トップページ
◆高野聖------------泉 鏡花
◆機械--------------横光利一
◆坊ちゃん----------夏目漱石
◆銀河鉄道の夜------宮沢賢治
◆五重塔------------幸田露伴
◆破 戒------------島崎藤村
◆鼻--------------芥川龍之介
◆走れメロス---------太宰 治
◆彼岸過迄----------夏目漱石
◆カインの未裔-----有島武郎
◆風の又三郎--------宮沢賢治
◆地獄変----------芥川龍之介
◆こころ------------夏目漱石
◆田舎教師--------田山花袋
◆蜘蛛の糸--------芥川龍之介
◆舞 姫------------森 鴎外
◆平凡----------二葉亭四迷
◆人間失格----------太宰 治
◆野菊の墓--------伊藤左千夫
◆羅生門----------芥川龍之介
◆牛肉と馬鈴薯----国木田独歩
◆阿部一族----------森 鴎外
◆山椒大夫----------森 鴎外
◆三四郎------------夏目漱石
◆斜 陽------------太宰 治
◆グスコーブドリの伝記-宮沢賢治
◆高瀬舟------------森 鴎外
◆吾輩は猫である----夏目漱石
◆夜明け前----------島崎藤村
◆或る女-----------有島武郎
 

 
inserted by FC2 system