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「走れメロス」--太宰 治

村の牧人メロスは妹と二人平和に暮していた。

ある日、近々結婚式を挙げる妹のために町へ買物に出かけた。

町へ出るとなんとなく活気がなく、人々の表情も暗く感じられた。

わけを聞くと、猜疑心の強い王が人を殺すのだという。

メロスは単純な男であった。王を殺そうと思い城に乗り込んだが、

逆につかまって、死刑を宣せられてしまった。

メロスは王に「私は命乞いなど決してしない。

ただ、たった一人の妹に結婚式を挙げさせてやりたい。

処刑までに三日の日限がほしい。

私は必ずここに帰ってくる」「もし信じられないなら、

この町にセリメンティウスという石工がいます。無二の親友です。

彼を人質に置いていこう。約束の時間までに私が帰ってこなかったら、

彼を殺してもいい。」王は三日の日限を約束してくれました。

セリメンティウスが城に呼び出された。メロスはすべてを話した。

セリメンティウスは無言でうなずき、メロスを抱きしめた。

メロスは村に戻り、妹の結婚式を盛大に挙げた。

眼が覚めたのは翌る日の薄明の頃である。約束の刻限までには十分時間がある。

メロスは野を越え、森を抜けて雨の中も走りつづけた。

私は殺されるために走るのだ。

陽はすでに西に傾きかけている。突然、山賊に襲われる。

三人の賊をたおしてメロスは力が抜けた。立ち上がれない。

約束を破る心はみじんもない。動けなくなるまで走って来たのだ。

王は私に「ちょっとおくれて来い」と耳うちした。

遅れたら私を助けてくれると約束した。私は王の卑劣を憎んだ。

けれども今は、王のいうままになろうとしている。

私は永遠に裏切り者だ。動く事もできず、うとうととまどろんでしまう。

ふと水の流れる音を聞いた。一口飲んで夢から覚めた。歩ける。

私は友の信頼に報いねばならない。走れ!・メロス。

陽が沈む。いやまだ沈まぬ。セリメンティウスの弟子フィロストラトスがメロスを止める。

「もう駄目でございます。あの方はさんざん王様にからかわれても、メロスは来ますと平気でした。」

「それだから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題ではない。

私は、もっと恐ろしく大きいもののために走っているのだ」メロスは走った。

まさに最後の一片の残光も消えようとした時、メロスは到着した。

メロスは途中で一度だけ悪い夢をみたことを、

セリメンティウスは三日の間で一度だけ疑ったことを告白し、

殴り合ってから抱き合った。二人の姿を見て、

王は「信実とは決して空虚な妄想ではなかった」と

、二人の仲間にしてくれるよう申し出るのであった。

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