目次>◆破　戒------------島崎藤村

「破戒」--島崎藤村

信州飯山の小学校の先生をしていた瀬川丑松は、父から「被差別部落出と言う素性を隠せ」

と戒めを受けていた。

しかし彼の自我は、隠さなければ生きていけない社会の不合理を疑い､煩悶する。

同じ被差別部落出身の先輩で先進的な思想家・猪子蓮太郎は、堂々と素性を明かして不当な

差別を無くそうと闘っている。そんな蓮太郎を丑松は、尊敬していた。

丑松は自己の偽りにさいなまれ苦悩を深めるものの､告白する勇気を持つことが

できない｡

その父が死んだ。死に際しても「戒めを忘れるな」と言っていたという。

父の葬儀の後学校のある飯山に戻ると、丑松の素性を知っているという政治家の高柳が現れ、

学校内では、「教師に部落出身がいる」とうわさが流れたりした。

丑松は、思いを寄せていた志保に素性を知られるのを恐れ、持っていた蓮太郎の書いた本

を全て手離す事にしたのであった。

ところが、飯山で選挙戦が始まると、高柳に対抗する議員の市村弁護士と

一緒にやってきたのは蓮太郎であった。

丑松は、自分のことを話そうと蓮太郎を訪ねるが、蓮太郎は反対派に殺されてしまうのであった。

この事件を期に丑松は、父の戒めを破り素性を明かそうと決意するのであった。

丑松は、小学校の生徒の前にひざまづき、真実を隠していた事を詫びたのであった。

そして、生徒、友人、志保らは彼への理解を示したが、

結局、学校をやめて、蓮太郎の遺骨と共に東京へ向かった。

さらに、同郷の友人を頼って、新天地テキサスに旅立っていくのであった｡

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