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「風の又三郎」--宮沢賢治

九月一日、谷川の岸の分校に北海道から転校して来た少年、高田三郎である。

その朝、三郎がみんなを見回すと強い風が吹いた。

ちょうど二百十日に現れ、名前も三郎であるところから、嘉助たちは、

少年を「風の又三郎」だと言った。

二日、三郎が運動場の広さを歩測していると風がざあっと吹いた。

嘉助はやはりあいつは又三郎だぞと言う。

授業中、佐太郎が妹の鉛筆をとりあげるのを知り三郎は鉛筆を佐太郎に与えて、

自分は消し炭を使ていた。

四日、六年の一郎は、嘉助や三郎を連れ上の野原へ行った。

競馬ごっこをして遊ぶうち一頭の馬に逃げられ、

それを追いかけた嘉助は霧の中で倒れ異様な幻覚を体験した。

「ガラスのマントを着た又三郎」が空に飛びたつのを見た。

意識がもどると、馬と三郎にいたのである。「あいつは風の神」だと思った。

五日、放課後三郎は、嘉助や耕助たちと葡萄取りに出かけた。

知らずに煙草の葉を一枚むしった三郎を耕助がしっこく責めた。

耕助はその時二度も栗の木の下でしずくを浴びた。

それが三郎のしわざとわかって喧嘩になった。

やがて和解し、三郎は葡萄を五房手に入れた。

七日、むし暑い放課後水泳に出かけた。

水にもぐっていると、向こうの河原で大人たちが発破をかけた。

みんな下流に泳ぎつき発破で浮き上がった魚を捕った。

三郎はそのとき浮かんだ魚を返したりして、ひとりおかしな行動をする。

八日、この日、佐太郎は、用意しておいた「魚の毒もみ」用の山椒の粉をもって、

さいかち淵に来て、魚を浮かせようとして失敗した。

きまり悪くなった佐太郎はみんなと鬼ごっこをする。

そのうち、黒雲がでてきて雷雨となる。誰ともなく、

「雨はぎっこぎっこ雨三郎/風はどっこどっこ又三郎」

と叫び三郎は一目散にみんなの所に走ってきておびえていた。

十二日、嵐の朝、一郎は嘉助を誘い登校する。

二人は、三郎の父が仕事の計画が変更して会社から呼ばれ三郎

は父につれられて転校したことを先生から聞かされた。

「やっぱりあいつは風の又三郎だったな」と嘉助は叫んだ。

風はまだ止まず、窓ガラスは雨にうたれてガタガタと鳴っていた。

 

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